越後妻有の民家には、人と人、人と大地の関係性のなかで培われた生きるための知恵が詰まっています。しかし、豊かな時間や空間を内包した妻有民家の多くは、地域を見舞う過疎高齢化の波によって存続の危機に瀕しています。
空家プロジェクトは、このような民家にアーティストを関わらせて再生し、地域内外からオーナーを募って支えていく仕組みです。現代アートは、人と人をつなぎ、場所の新しい可能性を開き、現在を生きる私たちに新しいまなざしを提供してくれます。再生された民家は、住まう場所や人々が集う交流拠点、そして多目的な活動のスペースとして使うことができます。
“「大地の芸術祭」の里”は、地域・世代・ジャンルを超えた人々でつくる新しいコミュニティです。妻有民家のオーナーとしてコミュニティに参加し、新しい出会いと協働の扉を開いてください。
今や各国に知られる事業となった「大地の芸術祭」の舞台は、世界で最も雪深い、また1,000年以上の間農業を基盤として暮らしてきた越後妻有地域(現十日町市、津南町)です。南北信濃川が流れ、かつて縄文時代の火焔型土器の故郷でもあるこの一帯には、現在8万人弱の人々が暮らしますが、約760㎢にわたって豊かな森林と山々が広がります。
人々は長年にわたって、木材や山菜といった山の恵みを享受し、時には山間を切り開き、また川の流れを変えることによって米づくりを拡大し、持続的な営みを行ってきました。しかし今となっては、戦後の高度成長による人口流出、過疎と高齢化、農地や森林の荒廃、コミュニティ機能の低迷など、日本の中山間地域を見舞った負の諸相が集約した地域でもあります。
「大地の芸術祭」は、あらゆる要素が金銭を通して計られる「一元尺度」に集約されつつある現代にあって、幸いなことにも開発から取り残された妻有地域の潜在力を現代アートをもって呼びさまし、21世紀のモデルとなるような多様な関係性が宿る地域像を提示することを目的としております。
2004年に起きた中越大震災を契機に、地域には空家が一気に増えてきました。
家は、里山の風景を形作ってきた一因であり、生活文化の集積として存在してきました。その家をその場所で守っていこうということから始まったプロジェクトです。
空家にアーティストと建築家が入り、新たに蘇らせます。
2006年大地の芸術祭では、40を越える家を活用し、今でも10以上が残っています。
現在は、地元住民主体でレストランを運営したり、ギャラリーとしたり、イベントをしたりと、活用しています。
妻有のような農村にも今や古民家は少なくなりましたが、地域にとってはかけがえのない文化資産です。同プロジェクトは、民家を現地に地域に残して周囲とのさまざまな文脈のなかで活用するという点で、言わば文化の切り売りとも呼べる解体移築を前提とした昨今の古民家ブームとは一線を画します。徹底して地域にこだわっていく背景には下記の理由があります。。
妻有も含めた農村は、経済基盤が確立していない、利便性が悪いといった理由から、どうしても都市に劣るものとして捉えられがちですが、自然環境、時間、人々の考え方も含めて、実に豊かなものをもっているということを、プロジェクトへの関わりを通して実感していただけたらと思います。
大地の芸術祭は、越後妻有地域(新潟県十日町市+津南町)の里山を舞台に3年に1度開催される世界最大の国際芸術祭です。地域に内在するさまざまな価値をアートを媒介として掘り起こし、その魅力を高め、世界に発信し、地域再生の道筋を築いていくことを目指す「越後妻有アートネックレス整備事業」の成果の3年ごとの発表の場として、2000年のスタート以来、2003年、2006年の3回が開催されています。現在、2009年の第4回に向けた準備が進められています。